石取祭(桑名)の由来と歴史について!ユネスコ無形文化遺産登録の天下の奇祭!

桑名の夏の音と言えば、各町の祭車43台から打ち鳴らされる鉦と太鼓の石取囃子です。

くわな石取祭は日本一やかましい祭りと呼ばれていますが、桑名っ子は幼い頃からこの音を聴いて育っていることもあり、思い入れのある夏の音です。

さて、今回は石取祭の歴史や由来についてご紹介していこうと思います。

 

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桑名の石取祭(天下の奇祭)はユネスコ無形文化遺産

桑名市の春日神社の石取祭は、祭車総数43台と全国的に見ても単一の神社、一神事でこれほどの山車が一堂に会する祭りは非常にめずらしく、鉦や太鼓を打ち鳴らす、日本一やかましい祭りと言われています。

平成19年3月に「桑名石取祭の祭車行事」の名称で国指定重要無形民俗文化財に指定されました。

平成28年11月にユネスコ無形文化遺産に登録されました。

 

石取祭の由来と歴史について

石取祭が始まった頃

石取祭は、今からおよそ400年前の江戸時代初期頃に始まりました。

町屋川で採った石を春日神社に奉納する祭礼であり、今も昔も町衆の楽しみとして知られています。

しかし、今までに何度か中断せざるを得ない時期がありました。

明治維新後、政府により各地で一部の祭礼が禁止されました。

石取祭もその対象となりましたが、祭りへの市民の想いは熱く、祭りの運営規約を自分たちで作って県に復活を嘆願し、再開が叶ったという経緯があります。

 

石取祭が危機だったとき

太平洋戦争では空襲で約9割の祭車が焼失し、終戦の年に休祭しました。

しかし、翌年には再開し、焼け残った祭車をみんなで引いたり、実業家の諸戸家が個人で持つ祭車を借りたりしました。

自宅の再建すら苦しかったにも関わらず、人々は祭車造りを優先し、2・3年で作り直した町もありました。

ほかにも伊勢湾台風の年に休祭したりしましたが、人々の石取祭を愛する気持ちが強く、工夫を重ねて今に続いてきたのです。

そもそも桑名の祭車は江戸時代から現代まで、更新することが当たり前の風潮となっており、

「他の町内とは違う祭車にしたいという競争心が大きく、祭車の発展につながった」

と言われています。

祭車の形や飾りは大きく美しく変化し、4輪から小回りのきく3輪となりました。

江戸時代後期には贅沢禁止令で簡素な祭車にした時期があったり、明治以降に電線が普及したことで飾り物が当たらないよう工夫したりしました。

ハムまる
町衆の想いの強さが石取祭の発展につながったんだね。

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祭りが町を育てて来た

町衆の経済力と自治力が強かった桑名では、祭りを通して独自の文化が育まれました。

特有の祭り用語や唄が親から子に伝わり、各町内のしきたりで祭りが運営されています。

「石取祭は火の祭りでもあります。各町が競い合って祭りが発展した面もありますが、人々の心を一つにする意味がある。」

とおっしゃる方もいます。

 

春日神社の神前に掲げられた神聖な「斎火(いみび)」を各町の役員が提灯で持ち帰り、祭りで使う提灯類に灯します。

もし消えても他の提灯から火を分け、皆が一つの火を使います。

また老若男女問わず祭りを楽しむ姿も印象的です。

世代を超えて互いに尊敬しあい、町内の子を小さいときから皆で見守るような昔ながらのあたたかい人の絆が生まれています。

ハムまる
「祭りが町を育ててきた」とも言えるんだね。

 

新し時代へ伝統をつなぐ

少子化時代に伝統文化をどうつなげるのかが、今後の課題となっています。

昔は子どもが一町内に40人超はいましたが、今となっては数人になった町もあります。

ハムまる
実際に桑名市の小学校でも、ここ数年で2クラスあった学級が1クラスになってきているし、少子化問題の深刻さは現実でも実感できるレベルまで進んでいるよ‥。

小学生がいない町内では、親戚の子らがその日だけ帰省してつないでいます。

故郷を離れた青年たちも練習日の土日や祭り当日に帰ってきます。

さらに祭車のある町内に生まれた人だけでなく、他地域の人を受け入れる町内もあらわれています。

準備から参加してもらい、祭りの意味も伝えます。

祭りは神事であるという大前提のもと、自分たちが楽しむことに加えて、見る人も楽しめる祭りとして間口を開く時代になってきました。

保存会では、「いろいろな組織・団体と連携して、その都度段階を踏みながらまとまっていきたい」という思いがあるそうです。

 

官民の連携例としては、「桑名石取保存会伝承委員会」による祭車の修理維持支援、「桑名まつり実行委員会」のPR活動があります。

PR活動では祭りのリアルタイム動画配信を実施。

遠方でも視聴可能で、今年は二次元中継に挑戦します。

他地域の祭りとも連携しています。

昔から桑名の古い祭車が近郊に払い下げられたことで、近隣各地に石取祭が派生し根付いてきました。

桑名が各石取祭の開催地に呼びかけ、3年に一度石取祭サミットを開いて意見交換をしています。

また、子ども向けに練習祭車の鉦太鼓でお囃子を鳴らす体験型イベントを行っています。

お囃子体験は石取会館でも行うことができます。

保存会では公式グッズを制作販売し、運営費などに充てています。

今年は熱中症対策にも役立つタオルがラインナップに加わりました。

春日神社と石取会館で販売し、祭り熱を盛り上げています。

祭りに笑顔が並ぶ夏が今年もやってきます!

ハムまる
石取祭は守る価値のある希少なお祭りです。いかに継続していくのか考えていく必要がありますね。

 

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